ストレートパンツの裾上げシングル仕上げの方法
女性もののストレートパンツの裾上げ、シングル仕上げの方法の説明をします。
今回は、スーツっぽいもの、しっかりした生地、モードっぽいデザインのようなものを想定しています。
今回は4㎝の裾上げです。ほどく必要がありますが、もともとがすくい縫いなので、ここは簡単に解けます。
※これから説明する方法は、私がお直しバイト時代に教えてもらった方法だったり、こうした方がいいな~と思ったことを独自に盛り込んだ方法で、これが絶対的に正しいものでもありません。人やお店によってやり方やルールが多々あるはずです。たくさんあるうちのひとつ、として参考になれば嬉しいです。
左右の長さ確認
ズボン・パンツの裾上げをするとき、まず左右の長さが同じかどうか確認をします。
- 軽く全体的にアイロンをかける
- 前身ごろを合わせて折る
- ウエスト、股のあたり、膝のあたり、と合わせてクリップを留める
- 裾の長さに差異がある場合は、3で合わせているところがズレていないか2~3回はチェックします。
クリップするときは、ポイントとポイントをつまんでピンと張り、同じように張っている感覚を得たら、クリップ。
パンツの左右に同じポケットがあれば、そこもチェックポイントとして合わせます。そういう感じで私は確認をしています。
5㎜以内の差であれば、同じと判断します。
ごくまれに、5mm以上の差があるときがあります。その場合は長さの調整をします。
新品のパンツにはほぼ無いかも。古着の場合に出くわす印象があります。
仕上がり線を引いて縫い解く
この例では、-4㎝裾上げをします。
裾から-4㎝のところに線を引きます。そして、すくい縫いを解きます。
パンツの内側(股側)から解きます。解く様子を動画におさめてみました。
わかりやすいものではありません。途中画面アウトしているし・・・。参考までに。
切らない&幅の調整
折り返し部分の長さについて、残せるなら残した方が良いです。
7㎝あったら同じ股下の長さでダブル仕上げにできます。また、例えば穴が開いてミシン刺しをしたい時の共布としても活躍できます。
- 女性ものの場合7㎝。
- 男性用のスラックスは10㎝。
- 学生服なら15㎝。
上記はあくまで目安です。かつてバイトしていたお直し屋さんのルールでした。私も同じようにしているのですが、厳密に守っているわけではありません。品物によっては、長さを変えることもあります。例えば、スーツでも女性物の場合はデフォルトが3~5㎝です。何センチ裾上げしたいかで折り返しの長さが7㎝にならないこともあります。男性のスラックスも、残せるなら12㎝を目指しているし、逆に太めの方のスラックスだと幅が足りなくて10㎝も折り返せないこともあります。
今回は、もともとの折り返しが3㎝で、4㎝の裾上げだったので、折り返しの長さが7㎝です。なので切らないで裾上げをします。
仕上がり線のところで折ります。裾幅の差異を確認します。今回はつまんで7㎜くらい折り返しの幅が広いので、その分を詰めます。
内側(股側)をつまんで7㎜分を詰めます。
まず必要分のロックミシンをほどきます。裾から7㎝のところの縫い目を分岐点として、裾に向かって縫い目から7㎜のところへ斜めに線を引きます。縫うときは、分岐点の1㎝~1.5㎝くらい上のところから縫い始めます。もともとのステッチの上を1~1.5㎝縫って解けないようにしてから、引いた線の上を縫います。
もともとの縫い目(チェーンステッチ)を解きます。解くときは、まず、
- 縫われてる方向を確認。
(裾からウエストに向かって縫われているので、その逆方向に簡単に解けます。) - 分岐点のところ、チェーンになってない方の縫い目を1目切ります。
- チェーン側で切ったあたりを解すと糸が裾に向かってほどけていきます。
※反対側の足はこれの逆になるので、裾からチェーン側の糸を解すとウエスト側に向かってほどけるはずです。
縫い代を後ろ身ごろ側に倒してロックミシン。(後ろと決まっているわけではないです。後ろのことの方が多いです。もともとの倒れてる方に倒すと良いです。わかんなくなったら、股やウエストまでたどって倒れている方に倒します。)
もともとのロックミシンの糸を切らないように、メスが働かないようにロックをかけます。
縫い始めも終わりも長めに糸を残して切り、クロスステッチの針で糸をとじます。
アイロンとすくい縫い
仕上がり線に合わせてアイロンをかけます。そしてすくい縫いです。
こちらも内側(股側)から縫い始めます。すくい縫いはズレやすいです。折り返しの方を奥に少しズラして縫い始めるとズレにくいです。
特殊な押さえで、二股になってる部分があるのですが、その間に布端を入れ込みます。
縫っている間も折り返し幅がズレやすいです。折り返しの2枚生地が重なっているところは、右手の4本の指で筒状の裾を広く支えて、親指でズレないように上から押さえ、左手で、たるまないように針の位置に生地を持ち上げて軽く張るようにして縫います。片手ずつ写真を撮ってみました。1周+3~4cm過ぎたところまで縫います。
最後、すくい縫いの糸のとじ方です。画面アウトしてますが、一所懸命撮りました。
- シルバーのパーツが中央にくるようにします。
糸が輪になるように保持しているパーツです。はずみ車は後ろに回して調整します。 - 長く糸を引き出します。
針穴前のところの糸をつまんで服側はひっぱらないように、上をひっぱって引き出します。 - ニーレバー(膝で上げるレバー)で押さえをあげて
- ピンセットで糸の輪をシルバーのパーツから外します。
- 右側に少し移動させてから、そーーーっと左側へパンツを機械から外します。
- 4で外した輪っかを見つけて、糸を引いて輪を大きくしたら
- 右手の人差し指と親指を入れて、残りの糸を引き入てキュッと絞ります。
5回ぐらい繰り返したら糸を抜きます。 - 糸を1㎝くらい残して切ってもいいですが、見た目が気になる場合は、クロスステッチの針を使用して糸を生地の中へとじます。
最後、裏側からアイロンをかけて、左右の長さの確認をして合っていたら完了です。