横須賀にある当店へご来店されるのが難しいお客様には、メールなどでのやりとりで詳細を確認し、お直しを承ります。
I take clothing alteration orders by e-mail for customers who live far from Yokosuka and it is hard to come to my shop.
ジッパー・ファスナー交換は、フィッティングを必要としないことが多いのでインターネットからのご注文が多いです。ちなみに、次に多いのは、パンツの幅詰め。ブーツカットをスキニーにするというお直しです。ちなみのちなみに、お品物の受け渡しは宅急便を利用し、支払は代引きもしくは銀行振り込みです。
Since it is not necessary to check customers' fitting, zipper/fastener exchanges are most popular online orders at my shop.
こちらのブランケットコート、ファスナーは壊れておらず、乾燥機にかけたことで波打った部分を平たく直して、オリジナルのファスナーを調整して取り付け直してほしいというご依頼でした。
This blanket coat. The zipper is not broken. What the customer wanted is to fix the wavy line which is caused by a drying machine. The fabric gets shrank but the tape of zipper would not.
TALON(タロン)のジッパーが使われていて、コの字上止めもそのまま利用されたいとのこと。
The customer wanted to reuse the original TALON zipper and also its top stops which shapes are different from ones that are used nowadays.
通常ファスナーの上止めは、Uの字で、はさむように止められています。
The present top stops are U-shaped.
コの字ということは、古い。
wiki先生にお伺いしたら詳しいことが書かれてると思いますが、1900年代の前半くらいまで作られていたファスナーで、それ以後は無いとか、とにかく希少価値が高い代物。
The top stops which attached with it are a half square-shaped (?) and you can tell it is a real vintage.
当店ではヴィンテージファスナーの取り扱いがありません。新品YKKのみ。
I have only YKK ones. Talon is an American zipper company.
ファスナーを再利用して使うことはできても、コの字上止め、失敗したら私にはどうすることもできません。
If I fail to take the top stops or fail to attach them....? I have no idea what to do about it.
そのことをお話ししたところ、寛大なお客様で、コの字上止めはお客様のほうでしていただけるとのこと、上止めなしでのファスナー付け直しを承りました。
I told the customer about it honestly. He was generous. He said that he would do the stop parts by himself and still offered me the sewing work.
※こちら、お客様のお写真をお借りしています。噂のコの字上止め。
This photo is taken by the customer. The top stops.
手元にお品物が届いて、確認したところ、見返しのないシンプルなつくりでしたので、4200円とさせていただきました。
では、工程を少し紹介します。
1.Unseam ほどく。
ファスナーをほどきます。一目一目ほどいていきます。Take the zipper off.
2.Steam & Press アイロン
まず、ファスナーのテープ部分にアイロンをかけてまっすぐにします。Press the tape of the zipper.
つぎに、コート。Then, the coat.
↓ ちょっと具合の悪くなるアングルですが、違いをお見せしたくて。
3.Zipper Length Adjustment ファスナーの長さ調整
4cmくらい短くします。
しるしをつけて、ニッパーで務歯を取っていきました。
務歯を取るところの写真、撮るの難しい、というか、無理でした。
Take the unnecessary elements off by nippers.
4.Pretreatment & Sew 縫う前の準備と縫い付け。
ファスナーを縫い付ける部分の裏、崩れないように芯を張ります。Interfacing
両サイドの柄が合うようにします。最初に柄の部分だけ2cmくらいを縫いとめてズレないことを確認してから縫います。
Mark points to fit the left and right. Sew the points first so that it won’t get out of positions.
裾と襟の部分もあれやこれやしましたが、写真を撮ってないのでここの工程紹介は割愛します。No photos of sewing here.
出来上がり!It's done!!
波打った部分がまっすぐになりました。No wavy any more.
ファスナー自体が壊れていなければ、そのままのファスナーを再利用できることもありますので、お持ちのお洋服でクネクネが気になる方、ご相談くださいませ~。
追記
出来上がったものがお客様のお手元に届いて、すぐにフィードバックをいただけました。
「自分が思っている以上に真っ直ぐになって、大満足です。」
とのこと、うれしい限りです。また、コの字の上止めも問題なくつけられたそうで安心しました。上止めがないとうっかりスライダーを引き上げたりして外したりすると、もうそれはそれはややこしいことになるので、とても大事な部品です。
どのお直し・リメイクでも、毎回3日くらいは寿命が縮む思いで作業をしています。
というのは、新しく手に入れることができない、大事なお洋服なので、失敗があってはならないからです。
でも、よかった、と、フィードバックをいただけると、安心して5日は寿命が延びる気がします。
フィードバックありがとうございました。長生きできそうです。